ワタシが大学新卒でめでたく入社した会社は企業はブラック企業でした。
SNSが普及している今なら入社前に色々と情報を簡単に集められたと思います。
そして、現在ではブラック企業が叩かれているので、だいぶホワイト路線に切り替えが進んでいるようです。
ワタシの新卒時代の口コミはOB訪問くらいしかなく、当時の訪問では訪問先も制限されていたように思います。
そんな制限された先輩は会社の管理下にありますので、ブラックな話はまず聞けません。
ましてや当時はブラック企業なんて言葉さえなかったのですから、入った直後でもブラック感に気が付きませんでした。
むしろ、このくらいが社会人としては普通なんだとうなと自分を納得させていました。
それが入社1年目の素朴な感想でした。
同期の仲間と話をする機会が増えていくごとに、みんなブラック企業であることに気が付き始めます。
- おかしくないか?
- お前のところはどうだ?
- ソレ、ウチもだよ
- はやく辞めたいわ
- あいつ辞めるらしいぜ
そんな不穏な話が日を追うごとにエスカレートしていきます。
これがふつうなんじゃないかと呑気に考えたワタシも会社の理不尽さを目の当たりにするごとに、これはおかしいと気が付き始めます。
そしていよいよこれはこの会社を辞めて別の道を考えた方が良さそうだと思うようになりました。
新卒ですぐに辞めてまた転職活動をして良いのだろうか
当時の就職状況は厳しく、就職氷河期という言葉が新聞をにぎわすほどでした。
そのため、会社を飛び出してすぐに次の就職先が見つかるとは到底思えるような状況ではありませんでした。
それでも同期の仲間は一人また一人と辞めていきます。
ブラック企業に残るのも地獄、就職氷河期で転職活動をするのも地獄です。
そんな風に同期が辞めていく状況に当時の上司はこんなことを言っていました。
「お前辞めるんじゃないぞ」
「お前を一人採用するのに一体いくらかかってると思ってるんだ」
「ひとり一億はくだらないんだぞ」
今だったらパワハラでしょうし、言ってる内容は本当かどうかは分かりません。
しかし、当時のワタシは真に受けていました。
当時の面接は四次面接くらいまであったように記憶しています。
そのうえに評価を兼ねたグループ作業のようなステップもありました。
いわゆる内定者拘束のために会社が費用もちの海外旅行に連れて行ってもらった先輩もいました。
当時の上司は採用のために莫大な費用がかかっていると言いたかったのだと思いますが、ワタシは違いました。
たしかに、採用に費用は掛かっています。
しかし、それ以上に入社後の研修にお金がかかっていると感じたのです。
新卒で入社した会社の社員研修は、5年次研修までプログラムがありました。
1年目から毎年違ったプログラムで段階的に研修プログラムが組まれていました。
組織だって系統だてられらた研修内容です。
最初は社会人としての常識のような話や電話応対などからはじまりますが、段階的に会社のノウハウが伝授されるプログラムになっているのです。
新卒入社した会社は営業ではトップの会社で、その会社に営業として採用されましたので、日本トップクラスの営業研修を受けることができるとも考えられます。
そう考えると、ブラック企業だからといって1年目ですぐに辞めてしまうのはもったいないような気もしてきます。
ワタシは入社後割と早い段階で会社を辞めたいと思いましたが、少なくともこの研修を終えてノウハウを習得するまでは辞めないと決めました。
辞めるにしても何か見つけてからでないと、単に会社が嫌だから辞めたとしか見られないと思ったのです。
5年の研修が終わったときのことを今でも覚えています。
ああ、これでやっと辞められる。
営業のノウハウはすべて学ぶことができた。
その後、転職してから良く言われることがあります。
「あの会社に5年もいたんですか。たいへんだったでしょう。」
「あの会社にいた彼は営業のプロだからね」
実際はたいした実績を残していなかったとしても、年月が勝手に説明してくれることもあるのです。
そして、お金のかかった5年の研修の成果は今も役にたっていると思うのです。
さらにその5年の間にはOJTという仕事を通じた研修で厳しく営業の世界の本質をカラダに叩き込まれます。
もし、しっかりした研修プログラムが用意されている会社に新卒で入社したのであれば、1年足らずで辞めてしまうか、研修をしっかり習得してから別の道を歩むか、その差はその後の会社人生にも大きく影響するような気がします。
たいした研修もない会社を辞めるのは何年が良いか
新入社員研修が充実しているような会社ばかりではありません。
研修プログラムも用意されていない一般的な会社の場合の辞め時はいつなのでしょうか。
それは、理由によると思います。
ワタシの場合は研修プログラムが5年だったので、5年は我慢しようと決めました。
もし、それが3年だったら、3年で辞めていたことでしょう。
なかった場合は、その会社に在籍すべき理由を探します。
探しても在籍する理由がなければ、すぐに辞めてもいいと思います。
実際、ワタシはその後の転職活動中にすぐに辞めてしまった会社もあります。
ただし、失業保険の受給資格を持ってから辞めました。
会社を辞めたあと転職活動中に失業保険を受給できれば、当面のお金は補償されることになるので、全くの無職で無収入で転職活動を続けるよりも余裕を持って職探しに専念できます。
失業保険の受給資格を得るには条件があります。
通常は1年以上は失業保険を支払っていないといけませんので、1年以上働くことが一つの目安になるでしょう。
ワタシの場合は会社都合で辞めることになったこともあるので、その場合は6ヶ月以上働いていれば受給資格を得られました。
退職金制度が会社にある場合はその受給要件を調べてみるのも良いでしょう。
ただ、5年程度ではたいした退職金にはならないと思います。
ワタシは5年勤めた会社を辞めて資格試験の勉強に専念しましたが、わずからがらの退職金が少しは心の支えにはなりました。
結局、その退職金もすぐに使い果たしてしまいましたが、ないよりはあった方が良いです。
仕事を辞めるにもその後のお金の問題は少しでも軽くしておくべきです。
大金を用意する必要はありませんが、失業保険をもらいながら転職活動をすべきです。
お金の心配がなければ少しでも有利に転職活動を続けることができます。
研修制度もなく、このあと何年その会社にいても身につくもがなさそうであれば、お金の面で準備が整った段階ですぐに会社を辞めるのが良いと思います。
いつまでも自分にとってメリットのない会社に居続けることは無駄な時間を過ごすことになるだけですし。