ワタシは何度か転職活動をしています。
崖っぷちの転職活動で苦労しましたが、今は何とかのんびり生活しています。
ときどき「あの時辞めていなかったらどんな人生だっただろうか」と思うときがあります。
本当に正しい選択だったのかは分かりませんが、振り返ってみると「無駄なことはなかったかもしれないな」と思える時が今になって来ているような気もします。
会社を辞めようか、転職をしようかと悩んでいる若手社員の話を聞くことも多くなってきた年頃でもあります。
友人からも同じような相談を受けることも多くなってきました。
自分の時間が持てないほどボロボロになるまで忙しく働いて、本当にこのままで良いのかと悩む時期がみんなあるようです。
そんな時、どんな風に考えたらよいのでしょうか。
ある友人からの相談
誰もうらやむような大手企業に就職した高校時代の友人から5年ぶりくらいに連絡があって、相談したいと言う。
転職しようか悩んでいるという。
早速居酒屋で一杯となりました。
聞けばワタシと同じように会社を辞めて資格試験に挑戦してみようかと思っているとのこと。
社会人になってからも数年に一度くらいは仲間と一緒に新年会や忘年会をやっていたので、ワタシの経歴をその友人も知っていました。
ワタシが新卒で会社を辞め、資格試験に挑戦するために浪人生活を数年送りながら、試験には合格しなかったことも知っています。
その後、なんとか無事に転職することができて、一息ついているのも知っていました。
その彼がワタシと同じように資格試験を受けるために会社を辞めたいと相談に来たのでした。
目指す資格試験は司法書士でワタシと同じ試験を目指したいとのことでした。
たぶん彼なら合格できるだろうと思いました。
ただ、合格するまでに何年かかるか分かりません。
試験は1年に1度しかないのです。
1年で結果を出せると思うから、会社を辞めたいと思うのでしょう。
ただ、合格レベルに達していても、運が悪く苦手分野が出たり、風邪を引いてしまったりしただけで、再挑戦するためにはもう1年待たなければならないのです。
しかも、無職で1年待たないといけないのです。
1年を棒に振るのです。
ワタシは3年そのような状態が続きました。
その間にお金も底をつきます。
かなり精神的に追い込まれました。
これはかなり厳しいリスクの高いチャレンジです。
そんな話を彼にしたのです。
そして、資格を取ったとしてもすぐには稼げるようになりません。
彼にとっては異業界で異分野への挑戦です。
合格後もゼロからまたやり直さないといけないのです。
聞けば今の彼の仕事も順調ではあるらしい。
ただ、このまま同じ仕事をしていても上司をみていると先が知れてしまう。
本当にこのままで良いのかと感じてしまう、と。
このまま同じことの繰り返しでサラリーマン人生を終えることになるのか。
それはワタシも最初の会社を辞めるときに感じたことと同じでした。
成果を上げて仕事している先輩が、いとも簡単に全く縁もゆかりもない部署に突然転勤命令が出る。
単身赴任でなければ行けないような場所である。
しかもその先輩は先月新築の家が完成したばかりなのである。
それを目の当たりにして、働くとは何なのかと深く悩んだのを思い出しました。
会社に貢献して身を粉にして働き、念願のマイホームを手に入れても、家族と一緒に住めない場所へ転勤させられる。
これはワタシがいた会社がブラック企業だったからではないと思います。
会社は社員の生活のことなとど関心がありません。
社員の健康のことんどもたいして考えていないのです。
ワタシ自信は入院して退院したら転勤命令が出ていて会社に戻る席がありませんでした。
しかし、だからと言って、すぐに会社を辞める決断をすべきではないと、彼にアドバイスをしました。
辞めるように会社から言われたのでなければ、少し会社に利用されるのではなく、会社を利用したらどうかと提案しました。
会社を辞めれば無職で資格試験の勉強しなければなりません。
しかし、会社を辞めなければ会社から給与をもらいながら勉強ができます。
今の部署で勉強をする時間が取れないからと言って会社を辞めて時間をつくるのでなく、もっと楽な部署に異動願いを出すのはどうか。
そのうえで勉強時間を確保する方法もあります。
今の会社で働きながら資格試験に何度か挑戦してみてから考えても遅くはないのではないか。
今の会社で働きながら資格試験に合格する方法を探すのがベストなのではないか。
そんな風に提案したのです。
それでも辞めて挑戦したければ、止めない。
それは自分もやったことだから十分にその気持ちは分かる。
ただし、期限を決めること。
ワタシの場合は3年と決めた。
石の上にも3年。
3年やってダメならその石は温まらない。
すっぱりと諦めて別の道に戻って働くこと。
その時にはすでに3年歳を取っているので転職は本当に厳しいことを覚悟すること。
そこまで覚悟できるのであれば挑戦してみる価値はあるけど、ワタシは失敗したのでおすすめできない。
そんな風に話したのです。
その後彼はいまだに同じ会社に勤めています。
たぶんそれで良かったのだと思います。
一方のワタシは3年やってダメだった経験を今活かして仕事をしています。
3年間で勉強した知識を活かして仕事ができているのです。
3年間座っていた「石」は少しは温まっていたのです。
最近のワタシは他社の人からは法学部出身の専門家と見られていることが多いです。
実際は文学部出身だと言うと驚かれます。
20代に会社を辞めてまで身に着けようとした知識は、無駄にはなりませんでした。
どちらの道が正しいかは分かりませんが、いずれにしろ無駄なことは何ひとつなかったと今のワタシにははっきりといえます。